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「ミニシアター・エイド（Mini-Theater AID）基金」は新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令され、政府からの外出自粛要請が続く中、閉館の危機にさらされている全国の小規模映画館「ミニシアター」を守るため、映画監督の深田晃司・濱口竜介が発起人となって有志で立ち上げたプロジェクトです。
クラウドファンディング・プラットフォーム「MOTION GALLERY」で支援金を募集しています。
全国のピンク上映館も支援先に含まれています。

ミニシアター・エイド基金のクラウドファンディング　5月15日23時59分 終了
ファンド総額：３億３,１０２万５,４８７円
コレクター（支援者）数：２万９,９２６人
（Ｔポイントカードなどその他連携団体からの支援者を加えると、支援者数：３万１千人以上）
https://motion-gallery.net/projects/minitheateraid

深田晃司監督、濱口竜介監督らの感謝のコメント

「 めぞん美熟女　ぬるぬる下宿 」

　決して褒められた人ではないが、卑怯でなく、保身だけを考える輩ではない、嘘無く赤裸々に暴れまわる喜劇です。
企画担当者は鈴木則文監督の「トラック野郎」を念頭に置いて、私に今までやったことがない他愛無く力強く猥雑な活劇の挑戦を勧めて下さいました。
その担当者も長らく私の防波堤になってくださったもののこの二年後には退社し、舞台になった当時私の自宅だった屋根に上れる文化住宅も映画撮影の半年後には取り壊され、家のわきにあった柿の木もその秋が最後の収穫になり柿も察したのか、いつもより数多くかつ大きな実を生み、勝手に目標にし面識もない鈴木則文監督も確か試写の日にお亡くなりになり、担当者とともに時代の流れを嘆き、愛田奈々さんもこの映画で固さが抜け喜劇的な一面をのびのびと開花させ今後に期待させたものの、この年の３５フィルムの終焉とともに最後の一本になり、ぎりぎり「最後のプログラムピクチャー」の製作現場が猶予されていた最後の年に狂い咲いた作品です。
嘘と卑怯と保身に走らなかった時代の片りんを感じていただければ幸いです。

　先日、３月３０日に月内で閉館する金沢駅前シネマに行ってまいりました。
はるか昔、腹立たしくも元気だった今は亡き縄文人とともに伺って以来です。
その日の劇場もいつもの風景でした。
児玉監督のザッツ“日活ロマンポルノ”エンターテイメント作品の上映だけがそれらしいものでしたが、支配人に聞くと、たまたま、だそうでした。
本当はもう少し先まで上映しているつもりだったという事です。
閉館の理由は表向きには、３５ミリフィルムの痛みが限界で上映できるものが限られてきたという事、そして追い打ちをかけたのがコロナ禍での観客減少ですが、あの支配人がそんなことぐらいで閉館するとは今までの行動言動から全く思いませんでした。
そのことを直に確かめるのも、金沢に行った理由のひとつです。
結果、思った通りでした。
大体、数々の武勇伝、興行師としての脅しに屈しない反骨精神の持ち主の支配人です。
今回の閉館の理由は、全く納得のいくことでした。
詳しく書くのはいずれ支配人が上梓するという文章に譲るとして、私はそこに映画人の大先輩としての矜持を受け止めました。
氏の信条とする映画の不良性精神の風上にも置けない中で、上映を続ける意味が見いだせなかったに尽きると思います。
嘘や保身や卑怯には反骨は肩入れできないのです。
これは溜まった膿に対する一つの態度です。

　今世の中に蔓延っているのは、あるはずの膿を見ないふりをして、なきものとすることです。
そんな中、京都ほんまち館さんは、見ないふり、ないふりしないで果敢に上映を守る数少ない劇場の一つです。
一つの文化が消滅するかもしれないこんな危機的状態に劇場を再開し社運をかけて敢えて直視して上映することで態度を示してくださいました。
それもよりによって『めぞん美熟女 ぬるぬる下宿』を…。
劇場は皆様のお気持ちで長く生きていける感情も持った生き物です。
どうかこんな時こそ、あえて皆が無きものにしようとしている『めぞん美熟女 ぬるぬる下宿』を上映する京都ほんまち館に是非お運びください。
貴方の心にある、「ピンク映画」に対する思いはどうか終わらせないでください。
私も終わらせないために、「ライト(right)サイド」を行きます。この話もまたいづれ。


補足　御存じの方には言わずもながですが、主題歌(注＊)の一節「右か左がまずければ、白か黒かといえばいい」は、NHK前会長籾井勝人（もみいかつと)の発言からとりました。

文：荒木太郎

＊編注…本作の主題歌「おいらの未来には希望しかない」のこと

＜ 京都ほんまち館 2020年7月17日(金)～23日(木) 上映 ＞

『 魔性尻　おまえが欲しい 』

皆様、はじめまして。
ベビーブーム･マサという名前は映画秘宝別冊『日本不良映画年代記』、『90年代Ｖシネマ地獄』などに寄稿をしたり、プログラムピクチャーを愛する執筆活動をさせていただいたりする時に使用しております。
最後のプログラムピクチャーとなったピンク映画に自分なりの敬意を込めてこの名前を使いました。それは、上京してきた孤独な若者たちの魂を揺さぶったと言われる、かつてのピンク映画の自由さと、先輩方が使用する変名の面白さにも憧れがあったからです。
文字通り変わった名前ですが、ふざけているわけではないので、ご理解いただけたら幸いです。

今作『魔性尻～おまえが欲しい～』はピンク映画初監督作品となります。
2019年の６月頃に撮影致しました。
艶やかな女優さん３人の熱演はもちろんですが、男２人の戦いにも注目していただきたいです。まっすぐにヒロインを愛する主人公を演じたアベラくん、偏執的に主人公をマウントをしたがるサイコ野郎を演じた三浦くん。彼らの熱演が刻みこまれました。
そして、撮影は『重たい尻』というタイトルを原題として進めていただけに、お尻にこだわった顔面騎乗ムービーです！
しかも、このお話は友達の俳優が占い師に監禁されて性奴隷にされた実体験がもとになっております。ぶっ飛んだ話ではありますが、映画全般を不思議な説得力が包んでいるのはこの為です。
自作の魅力を文章で伝えるのはなかなか難しいですが、限られた撮影日数で映画を作るということは皆の魂がより込められて熱い作品になるというピンク映画の醍醐味を体感致しました！
皆様、劇場のスクリーンでお楽しみください。よろしくお願い致します！

文：ベビーブーム･マサ（＝廣田正興 ひろた まさおき）

荒木太郎監督『さかり新妻 刺激のほてり』
　（初公開題：人妻悲恋 巨乳みだれ泣く／2009年）
京都ほんまち館 2020年１１月６日(金)～１２日(木)上映


「人妻悲恋 巨乳みだれ泣く」 文：荒木太郎

　このコロナ禍、苦境に喘ぐ成人映画館。しかしそれでも頑張る映画館。という話を聞くと、つい何とかできないかと腰を浮かせてしまってから、ふと我に返る。ああそうだ、今私は、故なき故あり、成人映画館を素直に応援しづらい立場にあるんだった。
そして今年、私のある文章に時期合わせるように、今年三月いっぱいで金沢駅前シネマも閉館してしまった。お別れのために閉館二日前に金沢に行った。しかし映画は生きている。映画館で上映してくださる限り。人々の記憶にある限り。私は一つの区切りのために本年一月発売の｢映画芸術｣誌に【「ピンク映画」は終わった】という文章を書きました。しかし私の大切にしていた「ピンク映画」は終わったにしても、それでも収まり切れないことがあるようです。今回上映してくださる、「人妻悲恋 巨乳みだれ泣く」はまさに収まり切れない記憶の物語です。記憶に残る女の人、厄介だが、美しく、たくましく、弱すぎる。そんな女性に惹かれた、思いの映画なのです。

　この映画のきっかけは、撮影半年前にある人にある女性を紹介して頂いた時に遡ります。この人はある種の夢と絶望を与える役ができる人だと印象を持ちました。それは一方的な勘違いかもしれませんが、映画は勘違いからの発見もあるようです。少々能天気な点もある私にとっては幸福な勘違いがこの時起こりました。
珍しく順調に撮影準備が進んでいたのですが、インの二週間前に突然紹介してくれた人からもう一度女性に会ってくれないかと言われました。会って出演の確認は頂き一安心はしたのですが、どうも釈然としないし、印象も同一人物かと思うくらい違う。悪い予感は当たり、イン一週間前にその女性が消えました。
消えてしまっては仕方ない。インも公開も決まっているので考える間も感傷もなく早速代わりを探し、皆さんの協力でできたのが同作ですが、こういう、イメージしていた女性から作られた物語は、本人がいなくなると、苦戦することが非常に多い。出演してくださった方は映画初にも拘らず度胸をもってやっていただき映画初出演としては好評でしたが、いくら力で見せても空回りする点が多く大変だったのではないかと想像します。私も苦戦したが戦い抜いた記憶があります。但し今思うところでは寧ろ夢の物語の夢を残すことで、もっと大きな夢を作ることが出来る機会をいただきました。
消えてしまった女性はこの映画の主人公のようにどこで生きているのかどうなっているのか知る由もありません。私に印象を残してくれたあの人は思い違いではなく、この映画の主人公のようなそんな夢と絶望の人だったのかもしれません。ほとんど会話もなかったので思い入れはないが裸の仕事をしている人の儚さは感じざるをえない。夢は夢として残しておいたほうが、次の大きな夢につなげることができる。

　今私は二つの懸案を抱えています。一つは言わずもがなの闘い、もう一つは新作映画公開で、それらは近いうちに御報告できると思いますが、そのあとにある大きな夢を「人妻悲恋 巨乳みだれ泣く」に見つけてください。私はこの映画の試写の後、大方満足してくださっていた初担当者Ｔさんに、もう一度作らせてくださいと、お願いしました。初めてのことです。その記憶が蘇ってきました。
こんな文章を頼まれると書いてしまうこと自体やはり私の「ピンク映画」は終わったようで終わっていないようです。
11月6日(金)から12日(木)まで。京都ほんまち館へ、どうか足をお運びください。

『ギャル番外地２ またシメさせてもらいます』
　2021年　1月29日(金)～2月4日(木)　京都ほんまち館

「ぴんくりんく１月号」（ポストカード･引換券）をご持参の方に
　《ギャル番外地・特製ポストカード》をプレゼント！
　『ギャル番外地２…』上映期間中、先着４０名様（お一人様１枚）！！

　監督･脚本:山本淳一
　出演：霜月るな　早乙女らぶ　しじみ　塚田詩織　渡辺一人
　　　　石田輝　小滝正大　太三　ゆたち　近藤善揮
　　　　ワニ完才　豊岡んみ　新井舞衣　三上あや香　CHIHIRO
　　　　滝本より子


「リピーターまで続出した東京と横浜での上映も好評のうちに終わり、ついに関西圏での上映となります！
　前作を観た方はもちろん、観てない方でも楽しめる映画となっておりますが、本作を観たら、きっと前作も　観たくなると思います！
　ちょっとでも気になったら必見落着の『ギャル番外地２ またシメさせてもらいます』をどうぞ、よろしくお願い致します！」
（監督 山本淳一）


　★★★ 霜月るな ちゃんからのコメントはこちら！！！


（小滝正大 画）

ＰＧぴんくりんく配給『色道四十八手 たからぶね』、『渡辺護自伝的ドキュメンタリー』監督の井川耕一郎が、千葉県習志野市内の病院で、２０２１年１１月２５日に亡くなりました。 享年５９歳
ご親族様より直近の様子をお知らせ頂きましたのでご一読ください。
映画作家・井川耕一郎が残した映画作品、脚本、著作は 永遠 です。
生前と変わらぬご厚誼を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2021年12月3日
「ぴんくりんく」編集部　太田耕耘キ


【みなさまへ　大切なお知らせ】
兄、井川耕一郎は　去る11月25日永眠いたしました。
10月に入りしばらく体調不良が続いたため、当月下旬から病院で薬の処方を受けながら検査を進め、日常生活を送っておりました。
23日に大学の講義を終えた後、24日未明に救急搬送となり、日付が変わった25日深夜に逝きました。
肝硬変の末期でした。
病状が思わしくなかったとは言え、兄本人もここまで早くして亡くなるとは思っていなかったのではないかと思います。
みなさまにはご通知が遅れましたことを深くお詫び申し上げます。
なお、葬儀は11月29日に近親者のみで執り行いました。
ここに生前のご厚誼を深謝し、謹んでご通知申し上げます。
2021年12月2日
家族代表・妹　井川淳子